保険の種類って何がある?今更聞けない、知らないと損する【保険大百科】

はじめに|保険は「知らない」が一番のリスク

保険という言葉を聞くと、「何となく難しそう」「専門用語が多くてよくわからない」と感じる方も少なくありません。けれども、私たちの生活の中には、実はたくさんの保険が関わっています。病気になったとき、ケガをしたとき、仕事を失ったとき、高齢になったとき――そんな「もしも」の場面で、保険は大きな安心と支えを与えてくれます。

しかし、正しく理解しないまま何となく加入していたり、逆に必要な保障に加入していなかったりすると、いざというときに「こんなはずじゃなかった」と後悔することにもなりかねません。

この記事では、公的保険と民間保険という2つの柱を軸に、保険の基本から種類、仕組み、選び方のポイントまでを、初めての方にもわかりやすく解説していきます。「今さら聞けない」ことも、「今だからこそ知っておきたい」大切な知識です。どうぞ最後までご覧ください。


公的保険って何?みんなで支え合う日本の安心システム

公的保険とは?

公的保険とは、国や自治体が運営している保険制度で、国民全員が何らかの形で加入することが法律で義務づけられています。「みんなでお金を出し合い、困っている人を助け合う」という相互扶助の考え方に基づいており、生活の基盤を支える大切なセーフティネットとなっています。

具体的には、病気やケガ、失業、高齢化、介護といった「人生のリスク」に対して、一定の保障を提供してくれるのが公的保険の役割です。

公的保険の主な種類

健康保険・国民健康保険

病院での診療費の一部を公的に補助してくれる保険です。会社に勤めている人は「健康保険」、自営業やフリーランスの人は「国民健康保険」に加入します。通常、医療費の70%が保険でカバーされ、自己負担は原則30%で済みます。

年金保険

働けなくなったときや老後の生活を支えるための保険です。国民年金、厚生年金があり、会社員は自動的に厚生年金に加入、自営業などは国民年金への加入が必要です。老齢年金、障害年金、遺族年金の3つの給付制度があります。

雇用保険

失業や育児、介護などで仕事を離れることになったとき、一定期間収入を補填してくれる保険です。再就職支援や職業訓練なども含まれており、生活の再出発を支援する仕組みです。

労災保険

仕事中の事故や通勤途中のけがなど、「業務に起因する災害」によって被害を受けた場合に補償される保険です。労働者を雇う事業者は必ず加入しなければならず、保険料は全額事業主が負担します。

介護保険

40歳以上のすべての人が加入対象となり、介護が必要になった際にサービスを受けられる制度です。在宅介護、施設介護、訪問看護など、さまざまな支援が受けられます。

公的保険の加入と給付の仕組み

多くの公的保険は、職業や年齢に応じて自動的に加入が義務付けられています。給与から自動的に天引きされることがほとんどなので、手続きが分かりづらいと感じることもあるかもしれませんが、実際には非常に整備された制度なのです。


民間保険って何?あなたの人生を守る多様な選択肢

民間保険とは?

民間保険とは、民間企業(保険会社)が提供する保険商品で、公的保険ではカバーしきれない部分を補完する役割を果たします。自分のライフスタイルや家族構成、将来の不安に合わせて自由に選ぶことができる、いわば「オーダーメイドの保障」です。

公的保険は「最低限の保障」を提供するものに対し、民間保険は「より手厚く・より柔軟な保障」を提供してくれるという位置づけになります。

民間保険の主な種類と役割について、より詳しく解説します。民間保険は、公的保険では十分にカバーできないリスクや、個人のニーズに合わせた保障を提供するものです。主に第一分野(生命保険)、第二分野(損害保険)、第三分野(医療・介護・傷害保険など)の3つに分類されます。

第一分野:生命保険

生命保険は、人の生死や健康に関するリスクに備える保険です。主な目的は、自分や家族の生活を経済的に守ることです。

終身保険

一生涯にわたって死亡保障が続く保険です。解約時には一定の返戻金があるため、資産形成の側面も持ちます。高齢になっても保障が続くため、相続対策としても活用されます。ただし、保険料は他の死亡保険と比べて高めになる傾向があります。

定期保険

保障期間が予め決められている保険です。掛け捨て型で保険料が比較的安いのが特徴です。子育て期間や住宅ローンの返済期間など、一定期間の保障を必要とする場合に適しています。保険期間が終了すると保障も終了するため、継続的な保障が必要な場合は更新や別の保険への加入を検討する必要があります。

収入保障保険

被保険者が亡くなった場合、遺族に対して月々の生活費のように一定額が支払われる保険です。遺族の生活を長期的に支える設計になっており、一時金で受け取る通常の死亡保険と比べて、計画的な資金活用がしやすいのが特徴です。

医療保険・がん保険:

病気やケガによる入院、手術、先進医療などへの備えとなる保険です。公的医療保険の自己負担分や、差額ベッド代などの追加費用をカバーします。最近では通院や在宅治療にも対応する保険も増えており、より幅広い医療ニーズに対応しています。がん保険は、がんに特化した保障を提供し、診断一時金や通院治療費などをカバーします。

第二分野:損害保険

損害保険は、物的・経済的な損害に対して保障を行う保険で、日常生活を取り巻く様々なリスクに広く対応します。

火災保険・地震保険

住宅や家財の損害を補償する保険です。火災だけでなく、風災、水災、盗難などの幅広いリスクをカバーします。地震保険は火災保険とセットで加入することが一般的で、地震や津波による損害を補償します。住宅ローン契約時に加入が義務付けられることも多く、住まいの安全を守る重要な役割を果たします。

自動車保険

交通事故による相手や自分の損害をカバーする保険です。強制加入の自賠責保険と、任意加入の任意保険があります。自賠責保険は対人賠償の基本的な部分をカバーし、任意保険はそれ以上の高額な賠償や、車両の損害、搭乗者の傷害などをカバーします。近年では、運転特性に応じて保険料が変動するテレマティクス保険なども登場しています。

個人賠償責任保険

日常生活の中で他人にケガをさせたり物を壊してしまったときの損害を補償する保険です。自転車事故や、子どもが起こした事故など、予期せぬ賠償責任に備えることができます。最近では、火災保険や自動車保険の特約として付帯されることも多く、総合的な生活保障の一部として重要な役割を果たしています。

第三分野:医療・介護・傷害保険など

第三分野保険は、生命保険と損害保険の中間的な性質を持ち、病気やケガ、介護など生活に直結するリスクに備えるための保険です。

医療保険

病気やケガによる入院・手術に備える保険です。公的医療保険では賄いきれない部分をカバーし、入院給付金や手術給付金などが支払われます。近年では、日帰り入院や在宅療養にも対応する商品が増えており、医療の進歩に合わせた保障を提供しています。

がん保険

がんと診断された場合の一時金や通院治療費をカバーする保険です。がんの早期発見・早期治療が進む中、診断後の生活支援や、長期の治療に対応した保障設計が特徴です。最新の治療法や先進医療にも対応する商品も増えています。

介護保険

公的介護保険では足りない費用を補う形で設計されている保険です。介護が必要になった場合の一時金支給や、介護サービス利用時の費用補助などがあります。高齢化社会の進展に伴い、より重要性が増している保険の一つです。

傷害保険

事故による骨折や入院など、突発的なケガに対応する保険です。仕事中や日常生活でのケガ、スポーツ中の事故など、幅広い状況でのケガをカバーします。入院や通院の日数に応じた給付金や、後遺障害が残った場合の保険金支払いなどがあります。

これらの民間保険は、個人のライフステージやニーズに合わせて選択し、組み合わせることで、より充実した生活保障を実現することができます。公的保険と民間保険を適切に組み合わせることで、人生の様々なリスクに備えることが可能となります。


  1. 保険を選ぶときのポイント:自分に合った「必要保障」を見極める

    保険選びで最も重要なのは、自分の生活状況やライフステージに合わせて、真に必要な保障を見極めることです。以下のポイントを考慮しながら、最適な保険を選択しましょう。

    1. 個人の状況を把握する

    まず、自分の現在の状況を正確に把握することが大切です。以下の要素を考慮しましょう:

    • 婚姻状況(独身か、家族がいるか)

    • 子どもの有無とその年齢

    • 住居の状況(持ち家か、賃貸か)

    • 職業と収入の安定性(正社員か、フリーランスか)

    • 健康状態や過去の病歴

    これらの要素によって、必要な保障の種類や金額が大きく変わってきます。

    2. リスクを想定する

    次に、自分の人生にどのようなリスクがあるかを具体的に想定します。例えば:

    • 病気やケガによる入院・手術のリスク

    • 死亡によって家族の生活が困窮するリスク

    • 介護が必要になるリスク

    • 失業や収入減少のリスク

    これらのリスクの中で、自分にとって特に重要なものを見極めることが大切です。

    3. 優先順位をつける

    すべてのリスクに備えようとすると、保険料負担が大きくなりすぎる可能性があります。そのため、リスクに優先順位をつけ、本当に必要な保障に絞って検討することが賢明です。

    例えば、独身で持ち家がない場合は、医療保険を優先し、死亡保障は最小限に抑えるなどの工夫ができます。一方、子育て中の家族持ちの場合は、死亡保障や医療保障を手厚くする必要があるかもしれません。

    4. 保障内容と保険料のバランスを考える

    必要な保障を見極めたら、保障内容と保険料のバランスを考慮します。保障を手厚くすれば保険料も高くなるため、家計の負担にならない範囲で最適な保障を選ぶことが重要です。

    5. 定期的な見直しを行う

    ライフステージの変化に合わせて、定期的に保険の見直しを行うことも大切です。結婚、出産、住宅購入など、生活環境が変わるたびに、必要な保障も変化していきます。

    以上のポイントを押さえながら、自分に本当に必要な保障を見極め、適切な保険選びを心がけましょう。必要に応じてファイナンシャルプランナーや保険の専門家に相談するのも良い方法です。


公的保険と民間保険の“賢い組み合わせ”で人生の安心を設計する

公的保険と民間保険は、それぞれが独立したものではなく、うまく組み合わせることで相乗効果を発揮します。たとえば、高額療養費制度で自己負担が抑えられる健康保険を土台に、医療保険でさらに安心をプラスする――こうした考え方が理想です。

保険の最適解は一つではなく、「ライフステージごと」に見直していくことが大切です。結婚・出産・住宅購入・転職・子どもの進学・定年退職など、人生の節目ごとに、保障の見直しと再設計を意識しましょう。


まとめ|保険は“賢く選ぶ”ことで、人生に安心と自由をもたらす

保険は、ただ「入れば安心」なものではありません。正しい知識と選び方があってこそ、その価値を最大限に発揮します。まずは公的保険という社会の仕組みを理解し、その上で自分に本当に必要な民間保険を見極めていく――これが賢い保険選びの第一歩です。

「よくわからないからとりあえず加入」するのではなく、「自分の人生に必要な保障を、自分で選ぶ」という視点を持つことが、これからの時代の“新しい保険のかたち”です。

情報は力です。しっかりと学び、選び、備えることで、私たちの人生はもっと自由で、安心なものになります。


※参考

保険の種類は大きく分けて公的保険と民間保険に分類され、さらに細かく分けることができます。以下に、保険の種類を網羅的に整理して列挙します。

公的保険
健康保険
国民健康保険
後期高齢者医療制度
介護保険
年金保険(国民年金、厚生年金)
雇用保険
労災保険

 

民間保険
第1分野:生命保険
死亡リスクに備える保険
定期保険
終身保険
収入保障保険
変額保険
病気やケガに備える保険
医療保険
がん保険
特定疾病保険(三大疾病保険)
女性保険
入院保険
傷害保険
将来の資金不足に備える保険
養老保険
個人年金保険
学資保険
第2分野:損害保険
火災保険
地震保険
自動車保険
賠償責任保険
海上保険
旅行保険
第3分野:生命保険と損害保険の中間的な保険
医療保険
がん保険
介護保険
傷害保険
その他の保険分類
保障期間による分類
終身保険
定期保険
養老保険
保険金の支払い方による分類
一時金型
年金型
保険料の払込方法による分類
平準払い
一時払い
契約者による分類
個人保険
団体保険

 

 

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